バス運送業界では、運転手の高齢化や採用難により、人材確保が大きな経営課題となっています。こうした状況を背景に、特定技能制度を活用した外国人バス運転手の採用に注目が集まっています。
特定技能制度は、人手不足が深刻な分野において、一定の技能水準と日本語能力を備えた外国人材の就労を認める制度です。2024年度に特定技能制度の対象分野として「自動車運送業分野(トラック・タクシー・バス)」が新設され、バス運送業も受け入れ対象として明確に位置付けられました。
本記事では、特定技能制度の概要から、外国人バス運転手を採用するために企業が満たすべき要件、採用までの流れ、メリット・デメリットまでを実務目線でわかりやすく解説します。
「自社でも特定技能の活用が可能か知りたい」「採用までに何を準備すべきか整理したい」という企業様は、専門スタッフが個別に相談対応する「外国人ドライバードットコム」へぜひお問い合わせください。
特定技能制度により外国人バス運転手の採用が可能になった
特定技能制度は、人手不足が続く産業分野で、一定の技能と日本語力を持つ外国人が日本で働けるようにする在留資格制度です。
この制度の対象分野に自動車運送業分野が含まれたことで、企業は外国人をバス運転手として採用できるようになりました。特定技能1号として在留資格を取得した外国人材は、必要な免許や研修を満たしたうえで、制度で定められた業務範囲内で就労が可能です。
制度に基づいて採用を行うことで、法令遵守を前提とした安定的な人材確保が実現でき、登録支援機関や人材紹介会社を活用すれば、企業側の実務負担を抑えながら導入できます。
自動車運送業分野が特定技能の対象分野として新設された背景
自動車運送業分野は、慢性的な人手不足と運転者の高齢化が進行している分野です。国土交通省の調査でも、関東運輸局管内においてバス運転者不足が路線減便の要因となっている実態が示されており、バス運転手の確保が地域公共交通の維持に大きな課題となっています。

また、国土交通白書の概要では、2030年に向けてバス運転手が必要人数に対して約28%不足する可能性が指摘されており、長期的な担い手不足が懸念されています。

引用:国土幹線道路部会 ヒアリング資料(公益社団法人 日本バス協会)
こうした背景から、2024年度に特定技能制度の対象分野として「自動車運送業分野(トラック・タクシー・バス)」が新設され、外国人ドライバーを採用できる法的枠組みが整備されました。
特定技能「自動車運送業分野」で受け入れ対象となる3つの業種
特定技能制度の自動車運送業分野では、受け入れ対象となる業種が明確に定められています。対象となるのは、以下の3つです。
・トラック運送業
・タクシー運送業
・バス運送業
それぞれ業務内容や求められる免許・教育体制は異なり、外国人材が従事できる職種も業種ごとに区分されています。
この3業種の中でもとくに安全管理や教育体制の重要性が高い「バス運送業」における外国人バス運転手の採用について、企業側が押さえるべきポイントを紹介します。
バス運送業は安全管理と教育体制が特に重視される業種
バス運送業は、旅客を有償で運送する事業であり、公共性が高く、安全性が最優先されます。そのため、バス運転者には第二種運転免許の取得が必須とされています。
また、新任運転者研修(座学・実地)の実施が法令上義務付けられており、外国人であっても例外なく受講が必要です。運行管理、点呼、健康管理などの安全管理体制も厳格に求められます。
これらの要件により、トラック運送業と比べて企業側の準備や管理負担は大きくなりますが、体制を適切に整えれば、安定的な人材確保と路線維持につながる点が特徴です。
参考:自動車運送業分野の「特定技能1号」になるための準備活動(日本の運転免許取得又は新任運転者研修の修了)を希望する場合(「特定活動」(特定自動車運送業準備))
特定技能外国人バス運転手が従事できる業務範囲
特定技能外国人バス運転手が従事できる業務範囲は、制度上従事できる業務内容が一定の範囲で定められています。主な業務は、路線バス、観光バス、送迎バスなどの運行業務です。
これに加えて、運行前後の車両点検、日常点検、乗客への案内や運賃対応といった付随業務も含まれます。また、運行管理者の指示に基づく業務も認められています。
一方で、制度で定められた業務範囲を超える作業に従事させることはできません。採用時には、業務内容が制度要件に合致しているかを事前に確認することが重要です。
参考:自動車運送業分野
外国人バス運転手を採用するために企業が満たすべき実務要件
外国人バス運転手を特定技能制度で採用するためには、企業側が満たすべき実務要件があります。
・自動車運送業分野特定技能協議会への加入が必須
・有効なバス運送事業許可を保有していること
・新任運転者研修を実施できる体制を整えていること
・安全管理・職場環境に関する基準を満たしていること
これらはいずれも在留資格申請の可否に直結する重要なポイントです。
特定技能協議会への加入が必須であること
特定技能外国人を受け入れる企業は、自動車運送業分野特定技能協議会への加入が求められます。協議会は、制度の適正運用と情報共有を目的として設置されています。
原則として在留資格申請までに加入が必要で、未加入の場合は受け入れ要件を満たさず、在留資格申請が認められない可能性があります。加入手続きには一定の期間を要するため、採用計画の初期段階で準備することが重要です。
有効なバス運送事業許可を保有していること
企業は、道路運送法に基づく有効なバス運送事業許可を保有している必要があります。具体的には、以下の3つが該当します。
・一般乗合旅客自動車運送事業
・一般貸切旅客自動車運送事業
・特定旅客自動車運送事業
許可の有無は、外国人バス運転手を採用できるかどうかを左右する重要な要件であり、無許可事業者は制度を利用できません。
新任運転者研修を実施できる体制を整えていること
バス運転者には、新任運転者研修の実施が義務付けられています。これは外国人であっても例外はなく省略はできません。
研修未実施の場合、行政指導や是正措置の対象となる可能性があるため、研修計画や指導体制を事前に整備しておく必要があります。
安全管理・職場環境に関する基準を満たしていること
外国人バス運転手の受け入れには、安全管理体制や職場環境が一定水準を満たしていることが求められます。
「働きやすい職場認証制度」などの評価制度は、安全運行や労働環境整備の指標です。安全管理体制が不十分な場合、申請時や受け入れ後に問題となる可能性があります。
参考:自動車運送業分野 トラック区分における 特定技能外国人受け入れの手引き
特定技能外国人をバス運転手として採用するまでの基本ステップ
特定技能制度を活用して外国人バス運転手を採用する場合、一般的な採用活動に加えて、在留資格申請や分野別協議会への加入など、制度特有の手続きが必要です。
あらかじめ全体の流れを把握しておくことで、採用計画の遅延や手続き上のトラブルを防ぎ、スムーズな受け入れが可能になるでしょう。
・人材紹介会社や登録支援機関に相談する
・求人条件(業務内容・勤務地・給与など)を整理する
・募集・選考を行い、内定者を決定する
・雇用契約を締結する
・分野別協議会への加入手続きを行う
・必要書類を準備し、出入国在留管理局へ在留資格申請を行う
・許可後、入国・入社し、新任運転者研修を経て乗務を開始する
海外から採用する場合は、面接開始から入国・就業開始まで6ヶ月〜1年程度かかるケースが多いとされています。国内在留者を採用する際は、在留資格変更許可申請となるため、海外採用に比べて期間を短縮できる傾向があります。
参考
在留資格申請の進め方と企業・支援機関の役割
在留資格申請の主体は原則として受け入れ企業ですが、実務は登録支援機関が代行するケースが一般的です。
企業は雇用契約の締結や事業内容の説明、受け入れ体制の整備を担い、登録支援機関は生活支援計画の作成や行政手続きの補助を行います。人材紹介会社は候補者の募集や選考など採用面での支援を担います。
在留資格申請では、企業側の書類と本人側の書類の両方を正確に準備する必要があり、いずれかに不備があると審査が長引く、または差し戻しになる可能性があります。特定技能制度に不慣れな企業ほど、申請準備でつまずきやすい点には注意が必要です。
こうした手続きを自社だけで進めるのが不安な場合や、できるだけスムーズに採用を進めたい場合は、特定技能に精通した専門支援の活用がおすすめです。
特定技能外国人バス運転手を採用するメリット・デメリット
特定技能バス運転手の採用には、計画的な人材確保と安定雇用というメリットがある一方、採用までの準備や受け入れ体制整備といった課題もあります。制度の特性を理解した上で導入を検討することが重要です。

メリット①計画的に人材を確保できる
特定技能制度を活用することで、国内採用が難しい地域や条件下でも、海外人材を含めた計画的な人材確保が可能です。特定技能外国人は比較的若い世代が中心であり、中長期的に育成しながら戦力化できる点も特徴です。
人材不足による路線縮小や減便を防ぎ、安定した運行体制を維持するための選択肢として、バス運送事業者にとって有効な採用手段と言えるでしょう。
メリット②制度に基づいた安定雇用ができる
特定技能外国人は在留資格に基づいて就労するため、業務内容や雇用条件が制度上明確に定められています。これにより、企業側は法令遵守を前提とした雇用管理がしやすく、トラブルのリスクを抑えられます。
また、行政ルールが明確な制度であるため、採用後の運用や在留資格更新においても見通しを立てやすい点がメリットです。
デメリット①採用までに一定の時間と準備が必要
特定技能外国人の採用には、分野別協議会への加入や在留資格申請など、一定の事前準備が必要です。
とくに海外から採用する場合は、面接から入国までに6ヶ月以上かかるケースもあり、即戦力としてすぐに乗務できるわけではありません。採用スケジュールを逆算し、余裕を持って準備を進めることが重要です。
デメリット②受け入れ後の体制整備が不可欠
採用後は、日本語フォローや生活支援、業務指導を行う体制の整備が欠かせません。教育担当者や相談窓口を設けることで、不安を早期に解消し、定着率の向上につながります。
受け入れ体制が不十分な場合、早期離職や在留資格更新への影響が生じる可能性もあるため、継続的なサポート体制の構築が重要です。
特定技能外国人バス運転手の採用で人材確保の課題を一歩前へ
日本人ドライバーの確保が年々難しくなる中、バス運送業界では人材不足が路線維持やサービス品質に直結する課題となっています。特定技能制度は、一定の技能水準と日本語能力を備えた外国人材の就労を認める制度であり、こうした課題に対する現実的かつ制度的に整備された選択肢です。
一方で特定技能制度の活用には、分野別協議会への加入、新任運転者研修の実施、在留資格申請など、企業側に求められる準備や手続きも少なくありません。しかし、登録支援機関や特定技能に精通した人材紹介会社を活用することで、こうした実務負担は大きく軽減できます。
将来的な人材確保に不安を感じている企業こそ、早い段階から制度を理解し、自社にあった受け入れ体制を整えていくことが重要です。特定技能外国人バス運転手の採用は、単なる人手不足対策にとどまらず、持続可能な事業運営に向けた一歩となるでしょう。
現時点で特定技能外国人のバス運転手採用をお考えの企業様は「外国人ドライバードットコム」へ、ぜひお問い合わせください。


