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物流会社が生き残るための人員確保戦略

募集をかけても反応がない……。ドライバー確保の焦りを「確実な戦力化」に変える経営判断

【監修者】木下洋輔 株式会社アズスタッフ 海外人材事業部 責任者

海外人材事業の立ち上げを統括し、現在は月の大半をアジア各国で過ごす。現地での採用面接会やドライバーの教育支援に奔走する傍ら、国内では営業として運送企業の新規開拓に従事。現場の悩みを知り尽くした視点から、外国人ドライバーと企業を繋ぐ架け橋として、日本の物流インフラを守るための人材戦略を提唱している。


「求人広告を出しても1ヶ月以上応募がゼロ」
「残ったドライバーの負担が増え、いつ離職の連鎖が起きてもおかしくない

今、多くの運送会社様が抱えているのは、単なる人手不足ではなく、「会社の未来が見えない」という切実な焦りではないでしょうか。

いつ来るか分からない募集を待ち続けることが、経営において最も大きなリスクになりつつあります。本記事では、この閉塞感を打破し、着実に人員を確保するための現実的な選択肢について解説します。

1. 努力だけでは解決できない「若手不在」の現実

「給与を上げれば」

「福利厚生を整えれば」

と試行錯誤しても結果が出ないのは、努力不足ではありません。

市場から「候補者そのもの」が消えているからです。

出展元:https://jta.or.jp/wp-content/uploads/2024/08/ssw_tebiki.pdf

出展元:総務省 統計ダッシュボード(https://dashboard.e-stat.go.jp/

現在、日本人の若手を獲得することは、極めて低い確率を追い求めることと同義です。その間にも現場の疲弊は進み、会社の体力は削られていきます。

2. 「特定技能」が人員確保の焦りを解消できる3つの理由

特定技能制度は、不確かな採用市場に「確実性」をもたらす手段です。

① 20代・30代という「確実な若さ」

特定技能で来日する人材の多くは、体力と意欲が最も充実している世代です。「若い人がいない」という現場の嘆きを、短期間で解消できる唯一の道と言えます。

② 「低い離職率」という安心

日本人の若手採用で最も大きな不安は、教育した直後の離職です。特定技能は、入社すれば5年間は腰を据えて働くことが前提の制度です。もちろん特定技能制度にも転職の自由はありますが、全業種での離職率は16.1%とかなり低水準です。

(参照:chrome-extension://efaidnbmnnnibpcajpcglclefindmkaj/https://www.moj.go.jp/isa/content/001397709.pdf)

全体の8割以上が離職せずに就労を続けています。この「5年は働き続けてくれる」という高い可能性が、配車管理者の精神的な焦りをどれほど軽減するかは、想像に難くありません。

③ 「働きたい」という純粋な意欲

彼らは「日本で自立したい」という高いモチベーションを持って来日します。指示を素直に聞き、技術を吸収しようとする姿勢は、停滞していた現場に良い刺激を与えます。

3. 「不確実な採用」から「計画的な育成」へ

焦りから「誰でもいいから採用する」のは、さらなるトラブルの元です。特定技能を活用することで、採用を「運」ではなく「計画」に変えることができます。

  1. 段階的なステップアップ: 入国直後は地場・近距離配送などのシンプルな業務からスタート。
  2. 長期的な戦力化: 業務に慣れた頃に会社支援で中型免許を取得させ、4t車の主力へと育て上げる。

期間
資格・スキル
業務内容のステップアップ
【1年目】
導入期
普通免許・準中型(外免切替)
地場・近距離配送(2t車)
日本の交通ルールや運行指示の理解を優先。
【2年目】
成長期
★中型免許の取得
中距離・ルート配送(4t車)
会社支援で免許取得。戦力として生産性が一気に向上。
【3〜4年目】
熟成期
運行管理者補助・班長
リーダー・指導役
新人ドライバーの横乗り指導や、現場のまとめ役を担う。
【5年目〜】安定期
★特定技能2号への移行
無期限雇用・家族帯同
熟練した技能が認められ、日本人社員と同様の長期キャリアへ。

出展元:国土交通省「特定技能制度(自動車運搬業)の運用指針」、警察庁「外国免許からの切替手続き」、およびアズスタッフ独自の定着支援モデルに基づき作成

4. 既存のベテラン社員を守るための決断

人員確保への焦りは、現場のベテラン社員にも伝染します。「いつまで自分が無理をしなければならないのか」という不安が、ベテランの離職を招くのです。特定技能によって「若手が入ってくる仕組み」が確立されれば、ベテラン社員は無理な休日出勤から解放され、後進の指導という新しい役割を担うことができます。モチベーションの高い人材を入れることは、今いる社員の活性化に繋がりますし、大事な社員を守るための防衛策でもあるのです。

5. まとめ:確実に「勝てる可能性」を高める投資を

もちろん、求人広告を出し続けていれば、稀に日本人の若手が採用できる「大当たり」のような機会もあるでしょう。しかし、その可能性は年々、確実に低くなっているのが現実です。

経営として「いつ来るか分からない奇跡」を待ち続けるのか。それとも、今後ますます勝率が高くなっていく外国人(特定技能)ドライバーへ投資し、着実な戦力を構築していくのか。

どちらが経営の安定に寄与するかは明白です。不信感を戦略的な判断に変え、新しい戦力と共に物流の未来を築く準備を、今こそ始めませんか。

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